2001年1月6日

神について思う

神を否定する者は、自らを神とする



 最近の宗教の傾向を見ていると古代へ逆行しているように思えてならない。若い人達の間には、シャーマニズムやアニミズム、アニマティズムが横行している。テレビやマスコミでは、占いや予言が大流行である。
 また、カリスマ的な教祖が現れて、個人崇拝、偶像崇拝が盛んである。また、現世利益を求め、快楽主義が跋扈している。自分が神であるかのごとく振る舞う、占い師すらいる。彼等は、前世がどうの、カルマがどうのと人を惑わし、悩み苦しみ人達から金をむしり取る。
 確かに、キリスト教やユダヤ教、イスラム教と言った宗教に奇蹟や予言者の話はある。また、カリスマ的指導者、教祖はいる。しかし、根本的には、当たり前なことを当たり前とする良識、常識に支えられている。
 超能力や超自然現象に頼っているわけではない。ごく自然で、生きていく上で必要な事柄をしっかりと守っている。道徳がある。少なくとも、神をネタにして金儲けをしたりはしない。自分の野望や欲望を達成するための道具、手段にはしない。これほど、罪深いことはないからである。
 現代人は、この様な既存の宗教を迷信のように言うが、現代的な宗教の方が、余程、迷信である。
 しかも、この様な話に易々と多くの人が騙されてしまう。そして、人生をあやまってしまう。また、洗脳されてしまう。それも、一流と言われる大学で教育を受けている者ですらである。
 また、終末的思想も盛んである。何か天変地異が起こるたびに、この世は、終わりだ。人類は滅亡するとがなり立てる。また、映画やテレビでは、ホラーや終末的ドラマが盛んに流される。
 余程、現代人よりもブッタや孔子の生きていた時代の人々の方が、生や死について真面目に考えている。

 我々は、科学が進歩したと豪語している。
 神への挑戦をしているという。神の力を手にした。神を超えたとすら思い上がっている者もいる。科学は、真理を解き明かしたと公言する者もいる。
 しかし、科学の何が、真理を解き明かしたというのであろう。
 確かに、医学の進歩は、不治の病を少なくした。残されているのは、癌ぐらいで、極少なくなった。しかし、人間は、不老不死の妙薬を手に入れたわけではない。
 生病老死の苦しみから解放されたわけではない。我々は、誕生のメカニズムは、解明できた。しかし、生命の神秘を解き明かしたわけではない。
 全ては、脳が生み出した幻想と著名な脳学者は言う。しかし、だからどうだというのか。それは、自分は、何も理解していないと言うのに等しいではないか。
 クローン人間、試験官ベービー、遺伝子の組み替え、原子力、だから何だというのか。人間は、自然界の法則を一歩も超えられないでいる。それが真実である。人間は、ただ、自然界の法則に効率よく従っているに過ぎない。我々は、自然界の法則にますます従順にならざるをえない。受け容れざるをえないのである。我々は、自然の恩恵、恵みに浴していることに変わりがないのである。しかも、その自然の恵みにすら限りがあることを悟らざるをえない。それは人類の蒔いた種、人類、自らの罪なのである。

 神を否定する者は、自らを神とする。

 人間は、何も解明していない。真理は、まだ深い闇の中にある。人間は、謙虚でなければならない。人間は、自然を保護することも、支配することも出来はしない。人間が自然に保護され、守られているのである。自然を汚しているのではない。ただ、自分達が住み難くしているだけである。

 人間は、本当に進化しているのか。進化することは、良い方向に向かうことを意味するのか。過去は、何もかも否定されるべきものなのか。現代の信仰の在り方を見ていると、キリスト教やイスラム教、仏教が成立する以前の世界に逆戻りしているようにすら見える。

 我々は、先人達の教えに対し、もっと真摯に耳を傾けるべきなのではないか。



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